介護施設の施設長やデイケア・デイサービスなどの管理者の方にお聞きします。
現場職員から真面目に勤務をしてきて、管理職・施設長を拝命するにあたり、マネジメント教育を一から受けてこられた方はどれほどいるでしょうか?
現場の役職者の背中をみて学び、ある日突然、昇進の打診を受けて右も左もわからないまま、役職を拝命する。そんな方が多いのでは無いのでしょうか?
少なくとも、私のお付き合いのある事業者様の多くは、ある日突然の辞令にて役職を拝命し、四苦八苦している方を多くお見掛けします。(もちろん、私含めて)
今回ご紹介する本は、はじめて役職を拝命する方や施設長を拝命することになった方向けの、入門書として非常に勉強になります。
本日のおすすめ本
糠谷和弘さんとは
1971年生まれ、東京都出身。介護保険施行当初から活躍する介護経営コンサルタントの草分け的存在
厚生労働省等の調査研究事業で委員も務めており、それらの活動はテレビ、新聞、雑誌、ラジオなどにも多数取り上げられている
現在は株式会社スターコンサルティンググループの代表取締役
暗中模索の中見つけた介護役職者のバイブル
「見よう見まね」と言うけれど、その「見まね」するモデルすらないのが現実です。
冒頭でも述べましたが、医療・介護の世界でマネジメントについて教育を受けている病院・施設は一握りであるのが現状です。
大きな病院や大きな法人で教育機関も兼ねているところは、昇進試験などもあり、マネジメントのイロハを学べるでしょう。
「役職者なんて割に合わない」「役職者にさせられたら辞めよう」なんて現場の職員から思われている現状をなんとか変えたい。
施設長のみなさんには、本書を読んでいただいて、心の負担を軽くしてほしいという著者の思いが詰まっており、明日から実践できる具体的な方法が書かれております。
あなたの「施設長像」は間違いだらけ!
現場から施設長の職を拝命すると、まず何から手を付けてよいのかわからず、現場からとにかく大変だという声を多く聞きます。
そうすると、ついつい現場の大変な部分を施設長が現場に入ってマンパワーを補ってしまう事がありますが、根本的解決には至っておらず、ズルズルとこの状況を継続してしまう事があります。
逆に、現場に顔を出さずにPCと睨めっこしていると、施設長は何やってるかわからないし、現場がこんなに大変なのに何もしてくれないと、揶揄される事もしばしば見かける光景です。
現在病院の事務長である私がとても共感したのが以下4点です。
①施設長は“現場”にいてはならない
②”居所”を常に明確にする
③「背中で教える施設長」などいらない
④お客様の声を聞いてはならない、「スタッフの意見」を聞くのはやめなさい
現場上がりの施設長ほど、現場の大変さがよくわかるので、つい現場に入りがちであり、それが心地よくなりがちであり、さらに充実感もあるかもしれません。
しかし、施設長は施設長にしかできない仕事をするべきであるのです。
一昔前の見て覚えなさいという背中で教えるタイプは、現在は通用しなくなってきています。
こういった、施設長・管理職としてのマインドは現場の感覚と反することがあり、決して現場教育のみでは学ぶことができません。
本書を読み進めながら、私自身もハッとするような気付きを得ながら、これまでの仕事への姿勢を反省してます。。。
忙しい現場を”楽”にする 「引き算の運営」
介護現場は”足し算”だらけ
介護職員の方は真面目で優しい方が多くいると感じています。(行き過ぎた部分も含めて。。。)
入居者さんや利用者さんの為に、こうしてあげたい・この間クレーム・要望があったからこれを追加しよう。
と、いう感じに業務がどんどん追加していき、業務時間を圧迫していきます。人員を増やしたらその分追加の業務を増やして結局残業時間は変わらないという話もよくある話です。
ここでは、どうやってこの難解な問題を解決するか具体的に記載されています。
- 機器の見直しによる”引き算”
- マニュアルで新人を”倍速”で育成する
- 仕事の3分の1は探しモノ!?
- 申し送りノートの限界
- 朝礼だけでこんなに変わる!
- 結論が出る!効果的な会議の開き方
- 残業と会議時間は、簡単に半減できる!
施設長が必ずぶつかる大きく難解な問題の具体的な解決方法を学べます。
書評のまとめ『やさしくわかる!すぐに使える!「介護施設長&リーダー」の教科書』 糠谷和弘(著)
福祉の仕事は「幸せ探し」
福祉の仕事はとてもやりがいのある仕事ではありますが、現場職員・施設長ともに教育体制が整っているとは言い切れません。
本来、昇進とは喜ばしい事でありますが、むしろ役職に就くことに対してマイナスなイメージを持っている方が多くいます。
「こうした現状をなんとか変えたい。そのためには、異業種では当たり前のマネジメントの方法論を、介護の現場でも実践できるようにアレンジすることが必要なのではないか」私はずっとそう思ってきました。
こういった著者のメッセージが込められた1冊です。
施設長になることが決まった。今後管理職を目指したい。管理職の考えていることが知りたい。という方に手に取っていただきたいです。
基本の基を学べる教科書として、是非ご一読ください。
第1章 あなたの「施設長像」は間違いだらけ!
第2章 まずは”武器”を身につける
第3章 スタッフを”笑顔”にするマネジメント術
第4章 あなたの力が試される 業績・稼働率アップ術
第5章 忙しい現場を”楽”にする「引き算の運営」
第6章 ”超採用難”時代の求人法
第7章 未来をつくる働き方